第15回青山ソーシャル映画祭を開催しました! 学習
1月29日(日)、青山ソーシャル映画祭にて「いただきます みそをつくるこどもたち」を上映しました。子育て中の女性にぜひ観て頂きたい作品だったので、親子会場と通常会場に分けての開催。お子さんを入れると100名近くの方にご参加頂きました!上映後は、日本の伝統和食を体感して頂くべく、薬樹薬局の管理栄養士さんが作った玄米おにぎりと味噌汁を頂きながら、VIN OOTA監督と料理研究家の大瀬由生子さんのお二人によるトークイベントを行い、食が健康な心や身体をつくることの理解を深めて頂きました。(企画した私たちが考えていた以上に、上映後のおにぎりとお味噌汁が好評で、とても嬉しかったです!)
食はいのちをつくる
福岡市にある高取保育園には、0歳から5歳まで約200人の園児たちが在籍しています。「知育、体育、徳育の根本に食の教育がある」という、西福江園長の信念のもと、30年以上続く玄米和食を中心とした保育が続けれ、県外からの視察が絶えません。「食育」という概念がなかった時代から独自の試行錯誤を重ね、その食育スタイルは全国に波及していきました。ひとつの生命体をまるごと食べる「一物全体」、土地柄と季節に合った食べ物をとる「身土不二」などの考えを基にした給食の献立は、玄米、味噌汁、納豆が中心。味噌は園児たちの手作りです。自分たちで配膳を済ませると「百回噛めよ」の歌を合唱し、食べ物に感謝していただきます。高取保育園のこどもたちはみんな、玄米、味噌汁、納豆を中心とした食事を美味しそうに残さず平らげ、アトピーも風邪も無縁の元気なからだになっていきます。「じぶんで作ったものは美味しい」「食がいのちをつくる」ことを自分のからだで学んでいくのです。
こどもたちが玄米ごはんと納豆、お味噌汁を美味しそうに残さず食べ、園庭や裏山を裸足でかけまわる高取保育園の日常。その中で園長先生が語る言葉の一つひとつが観ている私たちの胸に深く染みいりました。 『100回噛んでたべましょう』・・・高取保育園では、最初の1口めは、リーダーの号令に従ってみんなで100回噛みます。そうするとよく噛む癖がつき、その食材の栄養をまるごと身体取り込むことができます。そしてよく噛んで食べると自然におしゃべりなどせず、食べることに集中するのです。 『空腹は最高の調味料』・・・こどもは風の子。野山をかけまわるのが本来の自然な姿です。めい一杯運動したこどもたちは食欲旺盛で、給食をほとんど残しません。自然の中を動き回り、自然の恵みを感謝して丸ごと頂く。これが高取流の自然とのつきあい方、魂と肉体の育て方です。 『灰がたまったストーブでは、薪は燃えない』・・・出すことあっての食べること、こどもたちの立派なウンチの源は納豆やお味噌汁などの発酵食品と玄米、皮ごと頂く野菜たちです。おかげで、風邪ひとつひかない、アトピーもない丈夫な身体に育っています。 『昔はアトピーもアレルギーもなかった』・・・しかし、戦後流入した洋食により日本人の食が大きく変わり、今では日本人にとって和食は、数ある選択肢の中のひとつにすぎなくなってしまいました。しかし、本来、日本人の消化器官は野菜や米を消化しやすく、肉や乳製品、小麦を消化するのは得意ではありません。日本人の遺伝子は何百年もの間、和食に適した構造をしているのです。
ほんものの味噌
和食は、ユネスコ文化遺産に登録され、自然を尊ぶ精神性、栄養バランスなどが高い評価を得ています。本作品では、昔からふつうの家庭で毎日つくり続けられてきた和食の大切さを描きます。最新科学の分野でも、疾病に対する味噌の潜在的な効能が解明されつつあります。大量生産の味噌と異なり加熱処理をしない生きた発酵食品“手作り味噌”は、最も古く最も新しい、“未来の健康食”なのかもしれません。 高取保育園では、年長のひまわり組みの園児たちが月に一度、全員分の味噌を作ります。年度の最後である3月にはつぎの年長さん達に味噌の作り方を伝える「味噌伝達式」が行われます。「どんなお味噌を作りたい?→美味しいお味噌!」「じゃあ、どうしたら美味しいお味噌ができる?→作るときしゃべらない!心をこめる!」・・・園長先生と園児たちの会話に、ぐっときました。「心をこめること」を知っているこどもたち。大人も襟を正さなければいけませんね。 上映会でお出ししたお味噌汁は、作品の中でも登場した簡易味噌汁(味噌玉)です。事前に、お味噌に鰹節と乾燥ワカメ・ネギをまぜたものをお湯で溶いただけのもの。これでも十分お味噌の風味が感じられて美味しいんです。お味噌汁を作ることに抵抗がある方は、ぜひこのやり方で簡単お味噌汁にチャレンジして下さい!
季節を感じて生きるこどもたち
『昔のこどもたちはみんな、高取保育園のこどもたちのような顔をしていた・・・』 作品をご覧になった年配の方から、こんな感想を頂きました。確かに映し出されるこどもたちの顔は、目がキラキラしていて表情が豊かです。運動会では、サムライのような凛々しい表情で身体全部を使って動き回ります。名物「棒のぼり」も、毎日の運動の成果で、どの子も立派に登り切ります。こどもたちは、一年中、半袖、半ズボン、裸足で過ごしているのだそうです。便利な家電に頼らずに、薄着で外界の変化を感じる生活をしていると、暑さ、寒さに強いこどもになるのだそうです。高取保育園は、食事だけではなく、こどもたちの体幹づくりにも昔ながらの知恵が活かされているのですね。 「食べることは、生きること」「食べたものがわたし自身になる」そんなことをストレートに伝えてくれた高取保育園のこどもたちと西園長先生。食の大切さを知る、とてもよい機会になりました。ご参加頂いた皆さま、VIN OOTA監督、大瀬さん、協賛頂いたクリックネットの丸山さん、薬樹の管理栄養士の皆さん、本当にありがとうございました!