第15回ソーシャルイノベーションセミナーを開催しました!  

 6月2日(木)ソーシャルイノベーションセミナーを開催しました。第14回となる今回は、「すべての生命が安心して生活できる社会を目指して」というテーマで、認定NPO法人テラ・ルネッサンス創設者の鬼丸昌也さんにご登壇頂きました。

小型武器

 皆さんは、世界の紛争地で地雷が終戦後も人々を苦しめていることや、誘拐され戦争が使命だと洗脳され兵士にさせられてしまう少年達の存在を知っていますか?認定NPO法人テラ・ルネッサンス創設者/鬼丸昌也さんは、大学生のときに訪れたカンボジアで、地雷により亡くなった多くの命、大きな障害を抱えることになった人々の存在を知りました。自分が生きている同じ時代に同じ地球に生まれた人々の苦しみは、鬼丸さんに大きな衝撃を与えました。  この現実をできる限り多くの人に知ってもらい苦しむ人々を支援したいと、帰国後講演活動を始め、鬼丸さんの課題意識や思いに共感した人々からの寄付金で地雷や不発弾撤去を行う現地NPO法人を支援し続けました。たった1人から始めた活動が、いまでは5カ国で「地雷撤去」「小型武器根絶」「元子ども兵社会復帰支援」「平和教育」4つの課題解決に向けて鬼丸さんの”熱”が伝播し続けています。

子ども兵

 子ども兵は、脱走を防ぐために、家族や村の人々を傷つけたり殺したりするよう命じられます。家族や住んでいる村の人々に危害を加えることで、彼らが戻る場所を奪うのです。負傷して置き去りにされたり、かろうじて脱走した子ども兵は、差別と偏見により戻る家もなく、傷ついた心と身体を抱え、そのままでは生きていくことが難しい状況にあります。家族や友人から拒絶され自分が価値のない人間と思い込んでいる元子ども兵のケアや自立支援には最低でも3年をかけるそうです。それでも、仕事を覚え少しずつ周囲の役に立つことで、「生きていていいんだ」という自分を愛する心と人間としての自尊心を取り戻すのに3年では足りないでしょう。

地雷

 現在、3万人とも6万人とも言われる紛争地での子ども兵をこれ以上生み出さないためには、平和教育はもちろんのこと、私たちの消費に対する意識を変えていくことも重要です。なぜなら、現代における紛争の理由は、宗教上の問題ではなく、石油やレアメタルなど先進国が使う消費財原産地の争奪をめぐるものがほとんどだからです。もちろん日本も使用国の上位に挙げられます。このお話を聞いたとき、「紛争」と「ファストファッションがもたらす貧困と環境破壊」は、原因の部分で非常に似ていると感じました。地に染まった洋服、地に染まった携帯電話、血に染まったエネルギー・・・数えあげるときりがありません。  私たち消費者には、「どんな社会を作りたいか」という投票権を持っています。原産地を確認する、本当に欲しいものだけを買うことで、血に染まっていない商品を手にすることもできるのです。紛争や子ども兵の問題と先進国の消費の深い関わりについて、実態に基づき非常にわかりやすく描いた映画を鬼丸さんにご紹介頂きました。「ブラッド・ダイヤモンド」(2006年/米)と、「風に立つライオン」(2015年/日本)です。講演をお聞きになった方もお聞きでない方もぜひ、ご覧下さい!

最後に、鬼丸さんが大切にしている、マハトマ・ガンジーの言葉を紹介します。

「善きことは、カタツムリの速度で動く」
■講師プロフィール: 認定NPO法人テラ・ルネッサンス理事・創設者 1979 年、福岡県生まれ。立命館大学法学部卒。高校在学中にアリ・ヤラトネ博士(サルボダヤ運動創始者/スリランカ)と出逢 い、『すべての人に未来をつくりだす能力がある』と教えら れる。2001年、初めてカンボジアを訪れ、地雷被害の現 状を知り、「すべての活動はまず『伝える』ことから」と講 演活動を始める。同年10月、大学在学中に「すべての生命 が安心して生活できる社会の実現」をめざす「テラ・ルネッ サンス」設立。2002年、(社)日本青年会議所人間力大 賞受賞。地雷、子ども兵や平和問題を伝える講演活動は、学校、企業、行政などで年100 回以上。遠い国 の話を身近に感じさせ、ひとり一人に未来をつくる力があると訴えかける講演に共感が広がっている。
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