第19回青山ソーシャル映画祭を開催しました!  

 2月22日(木)に開催したドキュメンタリー「人生フルーツ」は、 修一さんと英子さん、合わせて177歳のご夫婦の凛とした暮らしの物語。

「お母さん、おのりちょうだい」
朝食の席についた修一さんの第一声。
私の頭には、家事は一切請け負わない、昔の旦那さん像と、旦那さんをひたすら立てて一歩後ろを歩く奥さん像が、浮かびました。

 けれどそれは杞憂に終わり、 ダイニングテーブルの位置を変えるシーンでは、主導権を握ったのは英子さん。
より近い位置で木々を眺めたい修一さんと、 通りすがる人の目に触れず、木々全体を引いた位置でゆっくり眺めたい英子さん。 このときは、英子さんが優勢だった。
朝食は一緒に食べるが、修一さんは和食、英子さんはトーストに自家製ジャム。
なんとも愉快な光景です。(もちろん全て英子さんが用意するのですが)

 戦後の日本復興を東大卒のエース建築家として支えた修一さん。
「家は暮らしの宝石箱でなければならない。」
その仕事は”自然との共生”に重きを置き、人々の彩り豊かな暮らしを支える。

母親から、「旦那さんが良い状態にあれば、廻り廻って自分も幸せになる」と教えられ育った英子さん。 修一さんのために自分ができることは、何でもやってのける。修一さんを支えながら、自分が興味を持ったことは 積極的にチャレンジする。

お二人は、それぞれ自立した価値観を持ち、それを認め合い互いを大切にして暮らしているのです。
このお二人を表現するには ”素敵”という言葉が陳腐なものに思えました。

 作品を鑑賞し、英子さんのスーパーウーマンぶりや修一さんへの深い愛情に着目した方も多かったと思います。 私ももちろんその一人です。 それと同じくらい(いやそれ以上かもしれない)、修一さんの自然に対する思い、家族への愛の素晴らしさを感じ、何度も涙が溢れました。

 何度でも観て感じたい、そんな作品がまた増えました。
いつもは、テーマに応じたトークゲストをお呼びしてお話しを伺うのですが、この作品は、テーマや生き方を押しつけるのでは なく、やさしく私たちに語りかけてくる風のような物語。

 ですから今回は、ご覧になった方それぞれの感じ方を楽しんで頂きたく、感想の共有会としました。
みなさん、映画をご覧になっていた時の真剣な顔とはまた違う、活き活きとした笑顔でお話しをされていました。
今回、上映会を通じて沢山の方に豊かな気持ちになって頂けてとても嬉しかったです。
ご参加頂いた皆さん、本当にありがとうございました!